教員紹介: 増田 豊 (ますだ ゆたか)

研究内容

集積回路の潜在能力を引き出す設計技術

 私たちが日々利用する情報技術は、全て集積回路を利用しています。集積回路には、数10億個などの膨大な数のトランジスタ (回路を構成する基本パーツ) が搭載されていますが、実はこれらのトランジスタのの性能は同一でなく、ばらつきがあります。従来の回路設計では、性能の最も悪い回路に動作速度を合わせており、他の大半の回路は自身の能力を十分に発揮することが困難でした。我々は、集積回路の高性能化・省電力化の推進に向けて、各回路が自身の潜在能力を 100% 引き出す設計パラダイムの実現を目指しています。

ポストムーア時代のコンピューティング基盤を支える CAD 技術

 20世紀後半から21世紀初頭にかけて、集積システムは目覚ましい速度で、高性能化・省電力化・小面積化を推進してきました。この推進は、「トランジスタを小さく作る程、システムを多機能にでき、同時に消費電力と回路面積も削減できる」という指針 (ムーアの法則) に支えられてきました。一方、微細プロセスの開発コストの増大、トランジスタに対する物理的な制約の観点で、トランジスタの微細化には限界が訪れつつあります。

 ポストムーア時代で省電力化・高性能化を推進するための設計パラダイムとして、近年、近似コンピューティング (AC: Approximate Computing) に注目が集まっています。これは、「重要な計算を正確に、他の計算を近似的に」行う指針で、機械学習、IoT、画像・音声・信号処理などの多分野での応用が期待されています。 AC 回路を実現するためには、回路設計から製造後テストまでの、幅広い設計開発支援技術 (CAD: Computer Aided Design) が必要不可欠です。私たちは、「計算の重要度」を定量的に取り入れた、新しい CAD 技術の開発を目指しています。

 

略歴

2010 年 3 月 大阪教育大学附属高等学校池田校舎卒業
2010 年 4 月 大阪大学工学部電子情報工学科入学
2014 年 3 月 同上卒業
2014 年 4 月 大阪大学大学院情報科学研究科 情報システム工学専攻 博士前期課程入学
2016 年 3 月 同上修了
2016 年 4 月 大阪大学大学院情報科学研究科 情報システム工学専攻 博士後期課程進学
2019 年 3 月 同上修了
2018 年 4 月 日本学術振興会 特別研究員 DC2 (2019 年 3 月まで)
2019 年 4 月 名古屋大学大学院情報学研究科 附属組込みシステム研究センター助教

所属学会

IEEE、電子情報通信学会、情報処理学会

受賞

  • DA シンポジウム2018 優秀発表学生賞, 2019 年8 月.
  • 情報処理学会 研究会推薦博士論文速報, 2019 年8 月.
  • 2018 年度山下記念研究賞, 2019 年3 月.
  • DA シンポジウム2018 優秀ポスター発表賞, 2018 年8 月.
  • IEEE CEDA All Japan Joint Chapter Academic Research Award, 2018 年8 月.
  • システムLSI 設計技術研究会2017 年度最優秀発表学生賞, 2018 年8 月.
  • DA シンポジウム2017 優秀発表学生賞, 2018 年8 月.
  • 平成29 年度システムとLSI の設計技術研究会優秀論文賞, 2017 年8 月.
  • DA シンポジウム2016 優秀発表学生賞, 2017 年8 月.
  • IEEE 関西支部学生研究奨励賞, 2017 年2 月.
  • DA シンポジウム2014 優秀発表学生賞, 2015 年8 月.

所属・連絡先など