Yang Li先生(メルボルン大学)を招へいしました
本研究科価値創造研究センターの外国人客員制度により、Yang Li先生を特任助教として2020年3月から2021年2月までの間、心理・認知科学専攻石井研究室に招へいしました。Li先生は、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う研究活動の制約にもかかわらず、インターネットを介した調査を精力的に行われました。またその成果の一部(日本、中国、アメリカを対象とした信頼行動の文化差についての研究)は、2021年2月の講演会において報告されました。他者一般に対する信頼は、固定したコミットメント関係のネットワークからなるような社会(例えば日本)では低い一方、流動性が高いゆえに固定した関係から離脱して新しい関係を追求したほうが有利な結果を得やすい社会(例えばアメリカ)では高いことが知られています。一方で、中国は、日本と同様に集団主義的な傾向が強いにもかかわらず、その一般的信頼は高いことも知られています。Li先生の研究は、経済ゲームの手法を用い、その中国の一般的信頼の高さの理由を明らかにしようとするものでした。
他にも「新型コロナウィルス流行下における、人々の利他傾向・心理的状態の日中米比較調査」や「内集団・外集団に対する態度・感情と個人特性の関連性に関する研究」を行い、その成果につきましては今後の論文の公刊が期待されます。さらに滞在中には、社会的ジレンマゲームのアプローチを用いて環境問題に取り組んだ論文がClimatic Change誌に公刊されました。
報告書は 価値創造研究センター招聘研究員 研究報告 に掲載されております。研究の詳細につきましてはそちらをご覧ください。
報告者:石井敬子(心理・認知科学専攻)