名古屋大学情報学シンポジウム2021を開催しました。(2021年12月11日)
名古屋大学情報学部・情報学研究科は、2021年12月11日に完全オンライン形式のウェビナーとして「名古屋大学情報学シンポジウム2021」を開催しました。本シンポジウムでは「信頼で結ぶ人工知能と社会」というテーマのもと、「社会に信頼される人工知能」と「人工知能を信頼できる社会」という2つの側面に焦点をあてた講演により、来るべき社会に向けた人工知能による価値創造の展望と可能性についての理解を深めるとともに、活発な議論が行われました。当日の一般参加者数は143名に達し、海外を含む遠方からも多くの方々にご参加いただくことができました。
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 人工知能研究センター・研究センター長の辻井潤一博士による招待講演では、人工知能による帰納的な手法がITに技術的なパラダイムシフトを起こし、DXを支える中核技術として社会の幅広い分野に浸透し始めていることを、人工知能研究センターの様々なプロジェクト事例とともにご紹介いただきました。また、その後は外部の3名の著名な講演者それぞれに、学内の3名の研究者が対となる形で、6件の講演が行われました。
中部大学 藤吉弘亘教授からは「深層学習における判断根拠の視覚的説明」を生成する手法と、それが予測システムの精度向上を伴う事例や、人とのインタラクションによって改善する事例などを交えてご紹介いただき、続いて情報学研究科の森健策教授から、「信頼される医療AIの実現」に向けて、診断や治療といった医療の特性を考慮した研究開発についての講演がありました。
科学技術振興機構 福島俊一博士からは、「信頼されるAI」の技術的な進化についての俯瞰と、今後の日本のAI研究開発や産業的な国際競争戦略について展望をご紹介いただきました。情報学研究科の武田浩一教授は、信頼されるAIのうち「説明可能なAI」に注目し、自然言語処理による説明可能性の実現について講演しました。
漫画家の山田胡瓜先生からは、これまでの作品に登場したヒューマノイドや産業用AIなどの設定や空想世界の世界観を通して、AIと人間の「共生」の課題や展望をご紹介いただきました。さらに情報学研究科の戸田山和久教授の講演では、「幸せな未来社会」という概念について、段階的にその定義を検証・修正しながら考察することで理解を深めることができました。
シンポジウム終了後に50名以上の参加者の方からアンケート回答をいただきました。オンライン形式の開催およびシンポジウムのテーマについては好意的なご意見が多く、講演資料の公開についてのご要望も多数いただきました。今後のシンポジウム企画に反映させたいと考えています。