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メディア情報とロシアによるウクライナ侵攻: 在京テレビ5局のYouTube動画を素材にして

社会情報学専攻/人間・社会情報学科 山本竜大

本稿の目的

 私たちがメディア技術を介して世界を理解する構図は、新聞、テレビ、衛星放送、CATV、インターネットというように情報環境が変化しても、本質的には大きく変わらない。だが、そうであっても、時空を超えて、コンテンツがより鮮明になり、情報の比較や保存が容易になった点は、私たちが恩恵を受けている技術の進歩である。また、令和3年度版の『情報通信白書』によれば、平日の「インターネット利用」の平均時間が、初めて「テレビ(リアルタイム)視聴」を上回ったという[i]。その傾向は、年代が若くなるほど顕著になっているのに加え、報道情報のルートが多様になっているため、世代間で情報の非対称性が高まりやすくなる。また、経済目的、愉快犯、政治的誘導など様々な動機はあるにせよ、フェイクニュースが蔓延しやすい環境の成立を、技術が助長している側面もある。例えば、現在人気の高いソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の一つTikTok検索の検索結果のうち、「5分の1」に誤情報があるという報道もある[ii]。その数字の正確さは別としても、宣伝、広告、広報などの情報コンテンツが溢れる一方で、私たちが認識すべき情報コンテンツが容易に曲解されやすい点は、利用者のみならず、情報源として私たちがそれらに依拠する際に、十分に注意する必要があろう。

 しかし、何が正しい情報コンテンツであるかを見定めることは、実は非常に難しい。多士済々が様々なチェックポイントを提示しているが、常にそれを意識しながら情報に接触する人は、どれほどいるであろうか。恐らく、それは、感覚なく新種ウィルスに感染するようなもので、気が付いた時には、ある考え方に支配されているという状況が、容易に起きる情報環境であることを浮かび上がらせる。これについて、万能なワクチンや予防薬もなく、精神力だけでは抗しがたい状況でもあるため、誰もが、情報の送り手の意図に何らかの影響を受ける環境は、やはり、古今東西成立することなのかもしれない。

 そうした環境下にあって、2022年2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻が本格的に始まった。この事態に対して、インターネット上でマスメディアはどのような情報コンテンツを提供しているのであろうか。もし、その一端が示されるなら、報道の大枠に関する把握、テレビ局が伝える意図も汲み取ることができるかもしれない。この問題意識をもって、本稿は、侵攻開始前後を区分し、在京民間放送キー5局(広域局)が動画共有サービスYouTube上に出稿した動画タイトル・テキストを利用して、それにアプローチする。

全体的な出稿状況 

 本稿で分析対象として収集された動画タイトルの数は3675である。2月24日を区分とすると、侵攻開始前410、後で3265となる。日ごとの分布状況を示す図1から、毎日数十本以上の動画が出稿されていることが確認される。そのピークが今年の第8週(2月13から19日)にある。に、同図上には、開始後にいくつかの窪みがある。その曜日を確認すると、それらが週末もしくは日曜に出現している。これに周期性を確定するには、もう少し長期にわたりデータの蓄積が必要である。ただ、この状況から、テレビ局の1週間のニュース・ルーティーンが表現される面もある。平日に比べ、ニュース・報道番組の時間が比較的少なくなる週末では、その出稿数も減ることは自然なことであるからである。また、インターネット上では24時間テレビ局は報道できるけれども、それをルーティンとして維持するには資源の問題があるため、(その日のニュースをまとめた長時間動画を繰り返す動画はあるものの)テレビ局によるインターネット上の情報発信には課題もある。[iii]。

図1:本稿で利用した動画の出稿状況(時系列)

侵攻開始前

 侵攻開始前までの期間に出稿された動画につけられたタイトルに形態素解析を加え、まとめた表1から、頻度語句の状況が確認される。そこには、いくつかの特徴がある。まず、米ロ、ロシアとウクライナ、プーチンとバイデンの対立が見えることであり、次に、日本の現首相がアクターとして名前が出やすくなっているらしいことである。危機感という言葉にも注目が集まる。それは、対立やこの時期の侵攻(準備)による緊張を表すためである。ロシア(軍)の侵攻を抑えようとして、ロシア・プーチン本人との(電話会談による)対話や交渉をする各国首脳たちの会議、制裁を検討する欧米、日本、そしてロシアに友好的な立ち位置をとる中国が絡み合う難解さや、政府の緊張の高まりが演出されていることがかいまみえる。そして、ウクライナ国内では、ゼレンスキー大統領、親ロシア派の動向が頻出する語句といえよう。

表1:頻出語の状況(上位抜粋)

 続いて、上位50語を利用して共起した語句をつなぎ、500のエッジからなるネットワークを作図したものが、図2である。そこから、動画タイトルでは、米国、ロシア、ウクライナの大統領、交渉者の一人としての外相間に比較的太いエッジが確認される。そのため、前述の状況と一致して、侵攻開始前における国際関係や、交渉の動態が、報道コンテンツ上で主なメッセージであったことを、私たちは理解できる。主要な中心性を確認するため、表2を参照すると、先にあげたアクターによる電話会談などによる交渉、ウクライナへの侵攻と欧米各国によるロシアへの制裁、関連国間の避難の応酬が顕著であったことが確認される。だたし、ゼレンスキー大統領の位置づけは、このネットワークでは、必ずしも高くないようだ。その点で、侵攻開始前では、同大統領の存在は、日本の民放におけるメディアコンテンツでは、その他の元首に劣る位置づけであったという評価になる。

図2:2022年2月23日までの動画タイトルを利用したネットワーク図(50語)
表2:2022年2月23日までの動画タイトルを利用した
社会ネットワーク分析にみる中心性の状況(上位抜粋)

 上記のネットワークを分割した結果生成されたネットワークが、図3である。それらに含まれるノードの意味を理解して解釈すれば、紺のネットワークの特徴は、ロシアの背後にいる中国の存在を危機として意識しながら進められる、日米のウクライナ侵攻への対応と主張ということであろう。中国と日米間では、尖閣や台湾問題があるため、欧州で起きている問題がアジアで同じようなに起きかねない状況は、日本、アジアの安全保障を反映する部分が多い。緑のネットワークは、日々展開される電話会談から「高まるロシアの危機」であるように読み取られる。薄緑のネットワークは、ウクライナ情勢を踏まえた日本を含む各国による対ロシア(追加)制裁に関する首脳対談とその内容の調整となる。左下に移動して、水色のネットワークは、プーチンのウクライナ侵攻の青写真とそれへの非難である。それは、軍事的にウクライナ東部を手中に収め、親ロシア派をエンジンにして独立承認を得るプロセスを踏ませるものである。この流れは、2014年のクリミヤ危機に類似する。領土の見方は、ロシアとウクライナで長きにわたり隔たりがあるが、今回もその対立構図がベースになっている。クリミヤでは、新欧米派の政権誕生に伴い生じた国内の抗議や動乱に乗じてロシア軍が参入し、クルミヤの法律を超えた形でロシアよりの政権が作られ、住民投票という民主的な装置を介して、地域のロシア化を合法化された経緯がある。大まかに言えば、今回の侵攻も、上記の成功体験を青写真にしていることが、テキストから読み取られる。その他、赤および橙、黄色のノードは、国家間、国際的な交渉・協議状況を示すものとまとめられる。

図3:2022年2月23日までの動画タイトルを利用したネットワーク図(分割後)

侵攻開始後

 同様の分析ステップを踏みながら、ロシアの侵攻開始後、テレビ局が発信した動画タイトルの特徴を検討しよう。もっとも、動画数が多いため、社会ネットワーク分析では100語句を利用した作図から解釈を、本稿は進める。

 まず、表1に戻ると、各語句の増加に加え、事態の変化が「ウクライナ情勢」から「ウクライナ侵攻」にあらわれることに気づかされる。確かに、この語句は、あるテレビ局が積極的に利用した見出しであるけれども、形態素解析後、共起、媒介しやすい言葉同士であることを踏まえると、状況の悪化を物語る。同様な事柄として、増加する語句に注目が集まる。速報、サポート、攻撃、市民、解説、中国、原発、(何)万人、避難、停戦交渉、不安が指摘される。中国という語句を除けば、それらは戦争によって生じる、あるいは関連する語句ばかりである。その点で、侵攻1か月でロシアとウクライナ双方の攻守が激しくなっている状況、それを伝えようとする送り手の意図、コンテンツの主要素を私たちは理解できる。

 次に、全100語を利用して作成された図4から、外延の語句が増えたことにより、さらなるアクター、地名、停戦に関する過程を示す語句などが確認される。中心性を示す表3と合わせて確認すると、既述のアクターや語句以外に「実施」という語句に目がとまる。この語句と共起しやすい語句は「人道回廊」(このデータでは共起回数12回)である。その他の共起としてロシア、ウクライナ、解説、ゼレンスキー、有識者などが続くことから、人道回廊が当事国間で本当に設置、機能するのかといった疑念と、その背後にある意向、思惑を有識者が説明するというイメージが想像される。

図4:2022年2月24日から3月末までの動画タイトルを利用したネットワーク図(100語)
表3:2022年2月24日から3月末までの動画タイトルを利用した
社会ネットワーク分析にみる中心性の状況(上位抜粋)

 2289のエッジからできた図4のネットワークは8つに分割された。本稿は、それらに含まれる語句から、各ネットワークを名付け、侵攻開始後1か月間の特徴を見出すことを試みる。左上に位置する紺のネットワークのなかで、(次数中心性を踏まえて描かれる)ロシア、およびロシア軍のノードが比較的大きく、その周りにウクライナ首都キエフ、および(軍事)侵攻があり、戦争の被害をこうむる市民、子供、女性がある。それらはウクライナ情勢とまとめられるが、より正確に言えば侵攻によって生じ始めた各地の反応と犠牲といえるだろう。

 上段中央の薄緑のネットワークも避難に関連するけれども、特にウクライナの人々の避難、ロシアの攻撃による不安要素を指している。その象徴的な語句として、人道回廊と原発があげられる。人道回廊は、砲撃により避難のタイミングを制限された民間人が一定期間両国の合意のもとで退避経路を確保する際に登場した語句である。ウクライナの人々は、ポーランドへの退避を希望するも、ロシア側は自国への経路しか実質的に認めない対応をとるなど、この措置の実行性や機能は、この時期は疑問視された。原発と一緒に用いられる チョルノービリ という地名は、3月末に日本の外務省がいくつかの呼称をウクライナ語式の読み方に変更したもののなかの一つである。そこへの攻撃は原子力発電所への攻撃を表し、1986年の事故を私たちに思い出させる。この事故は原子炉の設計問題と「国レベルでは有効な規制体制が確立されておらず、設計者およびプラントレベルで十分な安全解析がなされず、十分な規則や手順が整備されておらず、原子炉の安全特性が理解されていなかった」ことに起因すると言われる[iv]。しかし、完全に人為的な災害につながりえる今回の攻撃は、何万人もの人々を不安に落とし入れ、危機感を煽ったという状況を説明するコンテンツが一定程度ある。

 緑のネットワークは、プーチンを中心に据え、ウクライナと米国を除く親ロシア国家関係を巻き込みながら展開される、侵攻状況と停戦交渉に関する展開を示す。その中では、経済制裁をカードとする欧米諸国と、核(兵器)の利用さえもちらつかせるプーチンそれぞれの狙いや、心理戦、インテリジェンスを含む情報戦が伝えられていたとみることができるだろう。そして、これは、実質的合意に遅々として進まない交渉の難しさ、平行線をたどる主張の張り合いをもにじませている。

 より西側諸国の動向を示すネットワークが、 水色のネットワークである。この時期は有名な自動車、食品などの多国籍企業がロシアから撤退しはじめるころだが、岸田、ゼレンスキー、バイデンという人名、米国、イギリス、EUなどの国名、統合体名から、それらの首脳会談間で協調的にとられるウクライナへの緊急サポート、ロシアへの(新たな)追加制裁の検討が読み取られる。その交渉や影響に関する解説が、現地や報道スタジオをから展開されるイメージも浮かぶだろう。そこから、このネットワークは、戦況および外交レポートに映し出される、日本を含む西側諸国のウクライナ支援状況を意味することになる。

 赤色のネットワークから、日本とウクライナの二国間関係が共起しやすいことがわかる。その周りにあるフランスという国名よりも注目に値する語句は、形態素解析上まとめられている「危ぶむ声」である[v]。この時期において、この事態から起きる、あるいは起きるであろう悲劇に関するリスクを、このネットワークは含んでいる。別のネットワークにあった人道回廊からもわかるように、それを利用する人々は、避難民になる確率がある。そうなると、受け入れ(国)の準備態勢問題も懸念されるようになる。

 このリスクは陸続きの国家間では当然の事柄であろう。ただ、日本と関連する対ロシア・リスクの一つは、北方領土問題への影響である。長年未解決のこの問題や漁業、軍事問題など、日本政府の対応が政治経済、防衛にかかる問題である点で、この部分が形成されやすいといえるだろう。そのため、この図は、危機における国益の確保、予防の難しさを間接的に説明する可能性が高い。

 これに対して、橙色のネットワークは、国際機関よりも、中国、に注目することが適切であるように思われる。なぜなら、中国は、侵攻開始後もロシアとのコンタクトを維持しているからである。軍事的には陸海空で共同連携する動向は断続的に続いており、外交的にも中国国連大使は「両国の直接交渉開始を歓迎」する一方で、「冷戦思想捨てるべき」と発言している。これは、対欧米との関係を想定した発言であり、「常任理事国として責任がある」と外相会談の席でドイツ側から言われても、そのスタンスは変わっていない。もっとも、中国はウクライナの最大貿易国であるから、ロシアの過度な経済的な浸食への監視を弱めるわけにはいかない。ただ、振り上げた拳を下げられないロシア・プーチンの立場を、間接的に支援する形で、ウクライナとの外相電話会談では、交渉による問題解決を訴えている。国連総会におけるロシア非難決議の採択では中国は棄権した。ニューヨーク・タイムズ紙では北京オリンピック閉幕まではロシアに侵攻開始の自重を要請する一方で、その後は傍観するような態度をとっていることが報じられた[vi]。そうした距離感を維持しながら、ロシア支援継続する中国の姿は、欧米諸国、台湾、そして日本との間で目に見えぬ緊張を高めている。中国メディアもロシアへの制裁に「協力する義務ない」という主張を伝えていることから、情報統制を含め慎重かつ火の粉を被らないような姿勢を貫くスタンスを固持していることがうかがわれる[vii]。

 オンラインという技術的メリットを戦略的に活用した政治家は間違いなくゼレンスキー大統領である。ICTを介した演説で、彼はウクライナへの支援を世界各国に呼びかけた。本稿のデータでは、「オンラインとゼレンスキー」は14回あったのに対し、「オンラインと中国」は3回にとどまる。また、停戦協議に関しても、(停戦交渉を合わせても)共起回数は6回にとどまる。通信手段として用いられたオンラインという語は、危険を回避して行われた交渉であるということ以上の意味を持つ。国レベルで効率的なメッセージ発信を成功させ、そのトピック、概要をマスメディアに載せて増幅させた点は、(ウクライナとロシアの関係にとどまらず、)常時展開される政治とメディア、危機におけるメディア利用の関係で、非常に重要な可能性と危険性が潜んでいると言えそうである。

 黄色とさらに薄い緑のネットワークから一つの特徴が導かれそうである。それは、有識者の分析である。この期間、多くの専門家・有識者が画面上に登場した。普段馴染みの薄い国や、異常事態に対する理解を促進するために、より具体的な追加説明、今後の見通しを提供するために、テレビ局がそうした人々に依存する状況を、これは示している。

図5:2022年2月24日から3月末までの動画タイトルを利用した
ネットワーク図(分割後)

ここまでの検討から

 本稿は、ウクライナへのロシア侵攻に関して日本のテレビ局が出稿したインターネット動画のタイトル分析をした。その結果、いくつかの点が指摘される。まず、テレビ局が侵攻前後に国家間の交渉の行方に重点を据えていたことである。2国間交渉、多国間交渉、国連における拒否権行使問題などさまざまなレベルが存在するなか、プーチンの名前が強調されても、妥協(案)に達するような結果を確認することは、この期間では難しかった。それにあわせて、ロシア軍の侵攻と欧米から支援されるウクライナ軍の状況を「速報」のかたちで報道されることも多かった状況を踏まえると、ハイ・ポリティクスへの注目が継続的に高かった点は、この時期の特徴の一つである。もちろんこの問題の長期化は、ローポリティクスにも波及している。小麦粉価格の高騰だけでなく、エネルギー、流通問題など、ここでも様々な安全保障問題を引き起こしながら、私たちの生活を直接、間接に影響を及ぼしている。その意味で、一人の政治リーダーによる発言、指示一つで世界の均衡を大きく変えられることを目のあたりにしてしまった国際社会のありようは、新冷戦と形容できるかもしれないが、そこで不幸に見舞われるのは名もなき(関係国すべての)多くの一般市民のであることが、この簡単な分析でも導かれている[viii]。

 戦火の広がりに合わせて、カメラが戦争の被害者に向けられ始められていることも、特徴的である。本稿を執筆している時でも、この問題はウクライナ側だけでなく、兵力不足を補うために国内に動員令が発せられ、他国へ脱出するロシア人という光景も表面化している。そこでは、新たな難民問題、ヘイトを移動先で巻き起こす一因になりえる「負の連鎖」も危惧される[ix]。

 こうしたことが冒頭で触れたように、古今東西起きえる事柄であると考えた時、メディア技術の役割が大きくなっていることを、私たちは再認識できるであろう。この侵攻問題でもフェイク動画、加工の問題が何回か指摘された。プロパガンダとサイバー空間を組み合わせたハイブリッド戦争がどこでも成立するなか、老若男女問わず人々は、戦争の加害者にも、被害者にもなり得るし、常在戦場あることを日々想定して、メディア情報に接する、SNSを利用することが肝要になることは、筆者も含め、世界の人々が考え続ける必要がある。もちろん、そこには、政治経済、社会、グローカルな様々な変数が関わる。それらは複合的に混在するだろうから、今回扱った素材には、政治とメディアに関する研究上の貢献価値が潜在している。そして、各国民、有権者が適切に判断を下せる選挙制度、メディア環境の確保、維持を民主主義の根幹とするなら、やはりその制度運用も指導・監視する側も民主主義を担っていることになる。これは、ガバナンスの点においても、最終的に責任を問われるのが、その国の国民、有権者であることを再認識させる。

 本稿が検討した期間は、現実の推移から見れば一部に過ぎない。そのため、本研究の重要性は、事例としても、現代の政治情報の研究としても始まったばかりである。


[i] https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd242510.html(2022年9月30日参照)

[ii] https://news.ntv.co.jp/category/society/b565ecb866c64f9e9fb58db8ee6e9938(2022年9月30日参照)

[iii] テレビ朝日も出資するABEMA上に出稿したコンテンツが、テレビ朝日「ANNnewsCH(https://www.youtube.com/user/ANNnewsCH/)」でも視聴可能である。しかしながら、こうしたデータの分類について、本稿は踏み込まない。

[iv] https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_02-07-04-13.html(2022年9月30日参照)

[v] この語句は「心配する声、懸念する声、不安の声、不安視する声、抗議の声、抗議する声、批判する声、批判の声、反対の声、反対する声、疑問の声、疑問を呈する声、不安を訴える声、戸惑う声、戸惑いの声、不信の声、怒り、怒りの声、容認する声」という悲観的な感情を含む語句をまとめている。

[vi] https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000246639.html(2022年9月30日参照)

[vii] https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000248603.html(2022年9月30日参照)

[viii] 例えば、以下の動画である。https://www.youtube.com/watch?v=Qz96HBoMhYU(2022年9月30日参照)

[ix] 例えば、以下の動画である。https://www.youtube.com/watch?v=4P5O4x2k_F4(2022年9月30日参照)

2022年10月7日社会情報学専攻弱きを助ける情報学特集

Posted by tyama@i.nagoya-u.ac.jp

2022年のノーベル物理学賞についてのコメントが読売新聞ウェブ記事に掲載されました(複雑系科学専攻 谷村省吾 教授)
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