教員紹介: 川西 康友(かわにし やすとも)
研究内容
コンピュータビジョンとは,コンピュータ上で人間の視覚に相当する機能を実現することを目的とした研究分野です.この研究分野の中で,私は人が暮らしている日常的な環境をセンシングしたデータから,人が何をしているのか,怪しい人はいないか,困っている人はいないか,不測の事態が起こっていないか等を,画像・映像から認識し,人の生活を支援するシステムを構築する研究をしています.このとき,日常的な環境をセンシングしようとすると,観測される人のプライバシー問題を避けて通れないため,プライバシーに配慮した画像認識技術の研究にも取り組んでいます.また,センシングの際に可視光カメラだけでなく,距離画像カメラや遠赤外線カメラなど,人間には見えない情報も対象とすることで,人間を上回る視覚・認識システムの構築も目指しています.興味を持った方は,ぜひ研究室(IB電子情報館 南棟4F 451室)まで遊びに来てください.
広域の人物追跡と認識
広範囲に設置された複数の防犯カメラを用いて,多数の人物の移動経路を抽出したり,迷子などの人を探せるシステムの実現を目指して研究をしています.
骨格の時間変化に着目した行動認識
人の骨格の時間変化に着目すると,その人がどのような歩き方をしているかが分かります.この情報をもとに,駅構内での白杖利用者のような歩行弱者や,道路脇をフラフラと歩いている酔っぱらいなどの検出を目的としています.
群衆の振る舞いの認識
スタジアムやライブ会場の観客など,群衆を観察していると,その人達が何に注目しているのか,どういうところを多く見ているのかが分かります.離れた位置から多くの人を観測した映像をもとに,群衆の視行動を分析する研究をしています.
超低解像度遠赤外線画像を用いた認識
家の中で日常的に人の行動を観測しようと思った場合,高解像度な可視光カメラでは,夜間の暗闇で使えなかったりプライバシの問題があります.そこで,可視光カメラの代わりに,赤外線センサアレイによって得られる超低解像度遠赤外線画像に注目しています.16×16画素の超低解像度遠赤外線画像を用いて,ジェスチャ認識,行動認識を実現しています.また,最近はこの画像から人物の姿勢を推定する研究も行っています.
人の支援をするロボットのための物体認識
人の日常生活を支援する宅内ロボットにとって,自身の周囲環境を把握することは重要です.特に,人から指示された物体を把持し,人へと手渡しするためには,正確に物体の姿勢を推定する必要があります.これを実現するため,ロボットによる物体姿勢推定の研究を行っています.機械学習に基づく物体姿勢推定を実現するためには,多様な学習データが必要であるため,指定した姿勢の様々な物体画像を生成するGAN(敵対的生成ネットワーク)の研究も行っています.
講義
- [情報学部] 機械学習(演習)
- [情報学部] CS実験
- [情報学研究科] 数理科学基礎演習
- [情報学研究科] データ処理ツール演習
- [データサイエンティスト育成プログラム] 機械学習
経歴
- 平成23年 京都大学 大学院 情報学研究科 博士後期課程 研究指導認定退学
- 平成24年 学位取得(京都大学博士(情報学))
- 平成24年 京都大学 学術情報メディアセンター 特定研究員
- 平成26年 名古屋大学 未来社会創造機構 特任助教
- 平成27年 名古屋大学大学院 情報科学研究科 助教
- 平成28年 名古屋大学大学院 情報学研究科 助教
- 令和2年 名古屋大学大学院 情報学研究科 講師
- 現在に至る
所属学会
- 電子情報通信学会
- 画像電子学会
- IEEE
主要論文・著書
- Mahmud Dwi Sulistiyo, Yasutomo Kawanishi, Daisuke Deguchi, Ichiro Ide, Takatsugu Hirayama, Jiang-Yu Zheng, Hiroshi Murase, “Attribute-Aware Loss Function for Accurate Semantic Segmentation Considering the Pedestrian Orientations”, IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences, E103-A, No.1, pp.231-242, Jan. 2020.
- Kazuma Takahashi, Tatsumi Hattori, Keisuke Doman, Yasutomo Kawanishi, Takatsugu Hirayama, Ichiro Ide, Daisuke Deguchi, Hiroshi Murase, “Estimation of the attractiveness of food photography based on image features”, IEICE Trans. on Information and Systems, E102-D, No.8, pp.1590-1593, Aug. 2019.
- 川西 康友, 村瀬 洋, 徐 建鋒, 田坂 和之, 柳原 広昌,”屋内定点カメラを用いたパンフレット閲覧項目推定システム”,精密工学会誌, 85 巻 5 号 pp.463-468, May. 2019.
- 川西 康友, 出口 大輔, 井手 一郎, 村瀬 洋,”Camera DropoutとTrajectory Ensemble による多カメラ間複数人物追跡”,電子情報通信学会論文誌, J101-D, No.8, pp.1079-1088, Aug. 2018.
- 井関 洋平, 川西 康友, 椋木 雅之, 美濃 導彦,”防犯カメラ映像における条件分割型適合性フィードバックによる特定人物画像検索”,信学論, Vol.J98-D, No.1, pp.236-249, Jan. 2015.
- Yasutomo Kawanishi, Ikuhisa Mitsugami, Masayuki Mukunoki, Michihiko Minoh, “Background Image Generation by Preserving Lighting Condition of Outdoor Scenes”, Procedia Social and Behavioral Science, Volume 2, Issue 1, pp.137-142. Mar. 2010.
他こちら