教員紹介: 有田 隆也(ありた たかや)
研究内容
私の研究をひとことで言えば人工生命ですが,わかりやすく言うと「びっくり=創発」の探求です.生命のダイナミックな本質である創発性を「創って理解する」という構成的手法で解き明かします.創発、つまり「単純なモノの相互作用による複雑で賢い挙動や機能の出現」は,世の中のありとあらゆる複雑なシステムで見られます.私と鈴木(麗)さんで運営している人工生命ラボラトリでは、多様なメンバーが複雑系に対する視点と計算機使いまくりという方法論を共有し,日々仲良く議論しながら,次のような多岐にわたるテーマを研究しています.
- 仮想的物理環境で仮想生物を進化させる
- 体の構造と動き方を0から進化させて,たとえば,体の動きに付随して発生する音によるコミュニケーションを創発させます
- Naoaki Chiba, Reiji Suzuki, and Takaya Arita, “Evolution of Complex Niche-constructing Behaviors and Ecological Inheritance of Adaptive Structures in a Physically Grounded Environment“, Frontiers in Robotics and AI, 7(45), 2020.
- Michal Joachimczak, Reiji Suzuki and Takaya Arita, “Artificial Metamorphosis: Evolutionary Design of Transforming, Soft-bodied Robots”, Artificial Life, Vol. 22, Issue 3, pp. 271-298, 2016.
- 体の構造と動き方を0から進化させて,たとえば,体の動きに付随して発生する音によるコミュニケーションを創発させます
- ニューラルネットワークで心の基盤を作る
- 成長,学習,進化などのメカニズムを組み込んでヒトの心の機能(心的表象,心の理論,認知地図,メタ記憶)が創発してくるか挑戦します
- 有田隆也,Solvi Arnold, 鈴木麗璽,”二次学習の進化による心的表象の創発“,人工知能学会誌, Vol. 33, No. 4, pp. 476-483, 2018.
- Yusuke Yamato, Reiji Suzuki, and Takaya Arita, “Evolution of Metamemory Ability by Artificial Neural Networks with Neuromodulation“, Proceedings of the 2019 Conference on Artificial Life (ALIFE 2019), pp. 461-462, 2019.
- 成長,学習,進化などのメカニズムを組み込んでヒトの心の機能(心的表象,心の理論,認知地図,メタ記憶)が創発してくるか挑戦します
- パターンの変化の中に生命性を探索する
- 人工生命の最新モデルLeniaを拡張して,平面上のパターン変化の中に創発する生命たちを探索し挙動を分析します
- 川口貴子,鈴木麗璽,有田隆也:状態漸近更新型Leniaにおける「生物」の探索,日本数理生物学会年会,o21p2-2, 2020.
- Takako Kawaguchi, Reiji Suzuki, and Takaya Arita, “Replacement of the state-updating rule in the continuous cellular automaton model Lenia”, Proc. of the 26th International Symposium on Artificial Life and Robotics (to appear).
- 人工生命の最新モデルLeniaを拡張して,平面上のパターン変化の中に創発する生命たちを探索し挙動を分析します
- 人間関係を粒子群で表現して動かす
- 各粒子が人それぞれを表し,粒子同士が近いことは関係が強いことを表した上で,交友関係の変化を粒子運動で表します
- Reiji Suzuki, Momoka Ito, Shunnya Kodera, Keita Nishimoto, Takaya Arita, “An Online Experimental Framework for Cooperative Relationships With a Real-Time Decision-Making and Rewarding Environment“, Frontiers in Ecology and Evolution, 6(74) (10 pages), 2018.
- Asami Doi, Reiji Suzuki, and Takaya Arita, “A particle swarm model of socio-psychological dynamics based on Heider’s balance theory”, Artificial Life and Robotics (in press).
- 各粒子が人それぞれを表し,粒子同士が近いことは関係が強いことを表した上で,交友関係の変化を粒子運動で表します
- ヒトが言語を進化させるシナリオを考える
- ヒトがコミュニケーションしながら,いかに言語能力を生物進化させ,かつ言語を文化進化させえたのかシナリオを描き出します
- Tsubasa Azumagakito, Reiji Suzuki and Takaya Arita, “An Integrated Model of Gene- culture Coevolution of Language Mediated by Phenotypic Plasticity“, Scientific Reports, 8(8025), 2018.
- Hiroto Yonenoh, Reiji Suzuki and Takaya Arita, “Effects of Individual and Social Learning on the Evolution in a Co-creative Fitness Landscape“, Artificial Life and Robotics, Vol. 24, No. 4, 2019.
- ヒトがコミュニケーションしながら,いかに言語能力を生物進化させ,かつ言語を文化進化させえたのかシナリオを描き出します
- ボードゲームAIを作成して心の基盤を調べる
- ボードゲーム(協力ゲームHanabiや連想ゲームDixit)のAIプレイヤーを作成し,人間プレイヤーと比較して心の本性に迫ります
- Shinji Oyama, Reiji Suzuki, and Takaya Arita, “Investigation of the hypotheses for the emergence of Theory of Mind by evolving strategies for Hanabi with adjustment of cooperative-competitive degree”, Proc. of the 25th International Symposium on Artificial Life and Robotics (AROB 2020), pp. 30-35, 2020.
- 岩田航季, 鈴木麗璽, 有田隆也:連想カードゲームDixitのAIプレイヤー作成による人間の認知へ のアプローチ,2020年度人工知能学会全国大会(第34回), 4C2-GS-13-02, 2020.
- ボードゲーム(協力ゲームHanabiや連想ゲームDixit)のAIプレイヤーを作成し,人間プレイヤーと比較して心の本性に迫ります
- 聴覚による新しい理解のしかたを考える
- ドラマレビュー,ツイッター,交友関係などの変遷を可聴化し,立体音響による社会的心理のダイナミクスを鑑賞・理解します
- Yukina Takano, Reiji Suzuki, and Takaya Arita, “Virtual experience of complex dynamics emerging in a social particle swarm model by sonification“, Proc. of the 14th European Conference on Artificial Life, pp. 388-395, 2017.
- 出口万由子, 鈴木麗璽, 有田隆也:ドラマで喚起される集団心理ダイナミクスのレビュー記事に 基づく可聴化,情報処理学会第82回全国大会論文集, 1ZB-04, 2020.
- ドラマレビュー,ツイッター,交友関係などの変遷を可聴化し,立体音響による社会的心理のダイナミクスを鑑賞・理解します
- 互恵性を促してヒトが繋がる枠組みを提案する
- VR,SNS,ゲーミフィケーションを活用した協力行動促進システムを試作して「ポジティブ情報学」を実践します
- Takaya Arita and Nozomi Ogawa, “Promoting Reciprocity-based Cooperation by Dual Layer Gamification“, Proc. of the 17th Annual European Conference on Simulation and AI in Computer Games (GAMEON 2016), pp. 22-27, 2016.
- 加藤雄大, 鈴木麗璽, 有田隆也:二層化ゲーミフィケーションによるVR会議活性化の 試み,2020年度人工知能学会全国大会(第34回), 4D3-GS-12-05, 2020.
- VR,SNS,ゲーミフィケーションを活用した協力行動促進システムを試作して「ポジティブ情報学」を実践します
- 鳥類の鳴き声が創るサウンドスケープをAI技術で理解する
- 多くの鳥が鳴きあう様子を複雑系として捉えて,その仕組みをロボット聴覚技術による音の到来方向の推定やAI技術によるデータ分析を活用して理解します
- Shinji Sumitani, Reiji Suzuki, Shiho Matsubayashi, Takaya Arita, Kazuhiro Nakadai, Hiroshi G. Okuno, ”Fine-scale observations of spatio-spectro-temporal dynamics of bird vocalizations using robot audition techniques”, Remote Sensing in Ecology and Conservation (Special Issue: Ecoacoustics and Biodiversity Monitoring), 2020.
- Shinji Sumitani, Reiji Suzuki, Naoaki Chiba, Shiho Matsubayashi, Takaya Arita, Kazuhiro Nakadai, Hiroshi G. Okuno, “An Integrated Framework for Field Recording, Localization, Classification and Annotation of Birdsongs Using Robot Audition Techniques — Harkbird 2.0“, Proc. of 2019 IEEE International Conference on Acoustics, Speech and Signal Processing (ICASSP2019), pp. 8246-8250, 2019.
- 多くの鳥が鳴きあう様子を複雑系として捉えて,その仕組みをロボット聴覚技術による音の到来方向の推定やAI技術によるデータ分析を活用して理解します
ボードゲームの教育応用
教養教育院全学教育科目「基礎セミナー:ボードゲームを究める」において,2003年度からドイツボードゲームを使用した少人数向けリテラシー教育を試行錯誤的に続けています.より詳しい情報は「Gamify All! すべてをゲーム化せよ!」の「1.ボードゲームで学ぶ!」にあります.
- 特集「新型コロナと情報」:繋ぐよ繋ぐ,ボードゲームは繋ぐよ (「情報玉手箱」特集記事 2020年6月)
- ドイツボードゲームの教育利用の試み -考える喜びを知り生きる力に結びつける-(「コンピュータ&エデュケーション」2011年12月)
関連情報
- Recent Publications of Artificial Life Laboratory(人工生命ラボラトリ 研究成果サイト)
- Gamify all! すべてをゲーム化せよ!(ゲーム関連の活動の記録)
- 教員詳細「有田隆也」(名古屋大学 教員データベース)
- Evolve It! Takaya Arita’s Web Page(個人サイト)
所属・連絡先
- ALIFE-CORE(人工生命ラボラトリサイト)
- 情報学研究科 複雑系科学専攻 創発システム論講座
- 情報学部 自然情報学科 複雑システム系
- E-mail: arita “at” nagoya-u.jp